日本橋徒然草

NO.22 梅雨と紫陽花

令和3年7月 立石晴康

 6月から7月まで、梅雨時に街路樹の高木の下に白、青、紫、赤の見事な紫陽花が東日本橋ロータリー交通公園の付近に咲いています。この見事な紫陽花の存在がなければ、見落としがちな街路の樹木ですが、やがて訪れる真夏の猛暑の折には緑陰をつくり、梅雨時にはかわいらしい色とりどりの草花を咲かせてくれています。晴れた日にはここから東にスカイツリータワーが見えます。晴れた日、梅雨の日、どちらも趣のある東京の大都心の見事な調和した風景です。

 私は現役を退いて、今、時事通信社の勉強会の銀座支部長をしています。月に1回、帝国ホテルで開催されますが、コロナ禍の為、少し机の並べ方を変えて、大きな部屋を利用しています。この会合に浅草線の東日本橋から、日比谷線の通っている人形町で乗り換えて、日比谷まで行きます。日比谷の街路樹の下にもこの見事な紫陽花がかわいらしく彩りを添えています。

 梅雨は、夏の猛暑の中、大切な水源となる飲料水を蓄えさせてくれています。報道を見ると、熱海で大きな土石流災害が起こり、多くの方々が被災されたと報じられています。

 水は言うまでもなく、真夏の乾いた喉を潤してくれる大切な飲料水であります。しかし時には熱海伊豆山地区の水害や、川の堤防を越える大迷惑な水害をもたらします。

 東京には1時間あたり70ミリの降雨量に耐えられる都市構造が整備されています。工事中のこの大水路を見学したことがあります。驚くほどの大きな水路が東京中に張り巡らされて、1時間あたり70ミリまで洪水にならずに東京を守っていることを知らせてくれています。気付かずに誰もが安心して仕事や都市生活ができるのも、この隠れた力のおかげです。正に、ローマは一日にして成らず。このチェスタトンの有名な言葉を思い出さずにはいられません。そして未来の子どもたちに、安全な都市東京を更に発展していかなければならないと日々念じています。

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